読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

常葉大学映画研究同好会 ブログ

常葉大学映画研究同好会の情報をお伝えします。

『THE NEXT GENERATION パトレイバー 第1章』(2014)

 アニメ版を監督した押井守さんが自らメガホンを取って『機動警察パトレイバー』を現代にリライトするという企画で、実際に実機を制作するという無茶を仕出かしたと知っていたので初代第二小隊を観ているものとして興味を持ち鑑賞しました。
 第一章はエピソード0とエピソード1の2編で構成されていて、エピソード0「栄光の特車二課」は整備班長・チバシゲオの目線から初代や二代目(一言触れただけだけれども)と三代目の比較をしながら現状の第二小隊を説明するという、まぁ正直必要ないけどチバシゲオくらいしか初代からの繋がりはないから仕方ないね、なフィルムになっていました。とはいえチバシゲオ役を千葉繁さんが続けて演じるのは嬉しいものです。
 で、続いてエピソード1「三代目出動せよ!」では三代目が宿直を行いながら誤報ばかりの中で今の仕事についてどういう認識を持って働いているか、という云わばプロローグ的構成になっていて、いかに無能の三代目が無能たるや、ということを押井総監督が自ら監督脚本を担当することで上手く描き切っている印象を受けました。キャラクターも初代を踏襲しながら、俳優が演じることで更に人間味が増し、レイバー犯罪というものが「旧世紀から見た未来」だった初代、「追いついてしまった過去から見たフィクションの未来」たる二代目、「未来を追い越した現代」を描いた三代目にしてリアルな未来を描くことに成功している、と感じました。要するに三池崇史監督の『ケータイ捜査官7』に似た想定未来を現代劇に押し込めたフィクションになっていて、イヤにメッセージを詰め込んだ『機動警察パトレイバー THE MOVIE』や『2 the movie』みたいな初代の作品から異なった作品感を受けます(もちろんオススメするほどに初代の作品も好きですけどね?)。そして、何より立喰という要素がこれでもか、と描かれる本作。それでこそ押井だな! と個人的には絶賛です。

『私の優しくない先輩』(2010)

 日日日さんによる原作小説を数年前に読んでいたんですが、それに勝るラブ&ポップな世界観になっていました。ミュージカル要素もあって(嫌いじゃないけど)、正直なところ川島海荷さんのアイドル映画の域を超えていない描写も存在しますが、あれ込みで作品として成り立っているなぁ、と感じました。
 山本監督曰く「この作品でセカイ系に決着をつけた」とのことで。まぁ、主人公が虚弱体質で、自分の生き死により恋愛のことを考えていたい、ってのは広義の意味でのそれに含まれると思いますが、監督の関わった『涼宮ハルヒの憂鬱』に比べるととしてのパンチが物足りないような。脚本が大野敏哉さんなので少女の成長といった面でも十二分に描けたと思うので「なんだかなぁ」と言った感じ。
 劇伴は監督の盟友・神前暁さん。また素晴らしい音楽が鳴り響いています。がっぷり四つ監督と神前さんが組んだのはこの作品が最後なので、若干贔屓目ですが素晴らしいサウンドでした。主題歌の「majiでkoiする5秒前」はを神前さんが編曲、川島さんがカバーしたバージョンですが、監督お馴染みのダンスエンディングでとても良かったです。楽しめました。
 山本監督作品、ということである程度贔屓目なのは勘弁してください。ホントにヤマカン大好きなんです、どの作品も。
私の優しくない先輩 【通常版】 [DVD]

私の優しくない先輩 【通常版】 [DVD]

『ちょっとかわいいアイアンメイデン』(2014)

 本作は名門女学院である聖アネスティ学園に存在する拷問部を舞台に生徒たちの鍛錬と絡みを描く、深見真さんが原作を担当し、α・アルフライラさんが作画した『ヤングエース』に連載していた同名漫画を原作とした映画作品です。
 僕はもともと深見さん、もとい原作漫画のファンですので、実写化することをただでさえ危惧していたわけですが、実際観てみるとホント酷かったです。原作漫画はギャグ4コマですし、かわいらしいキャラクターなので結構拷問のハードなイメージは無いんですが、これはただの拷問系のアダルトビデオにしかなってません。直接的描写を映してないだけ(といっても下半身の局部を映さないだけなんですが)で、結構露骨過ぎるのでアダルトビデオになっているとしか言えないと言うか。パンツにエロスなんて感じないし、膣、尿といったワードは頻繁に出るし……。主人公の変態さ加減に拍車が掛かっていて、原作の百合好きオタク少女のイメージが消え失せています。というかオタクという設定は語られることすらありませんでしたね。
 まぁ、原作漫画とは異なるメディアなので、メディアの違いを理解する必要があるでしょうから、別物として考えてみますが、グラビアアイドルが演じるキャラクターの拷問シーンは妖美さや艶美さは皆無で、即物的なアダルティックな映像が創られています。低予算な創りと物語が相まってこれまた僕の苦手な系統の即物的作品に構成されておりました。原作のストーリーをなぞりながらも、実写化による拷問スパークリングの可視化とキャラクターのリアル化がこんなにキツイとは思いもせず……。
 原作漫画と比較して言うと、主人公の武藤結月ちゃんはかわいらしい女の子だったんですが、実写化に際して全裸はもちろん、自慰シーン解禁。合わせて恥毛まで映りますからコレジャナイ感が素晴らしいものになっております。出演女優たちの情報をググりましたが、ソフマップの撮影会に出たことがある人ということでして、ガチのグラビアアイドルらしいのでまぁ演技力もご察しでしたが基本的にアダルトビデオの域を超えていないと思います。
 ただ結月役の木嶋のりこさんは渡辺○友さん、舟木碧生役の吉住はるなさんは戸○遥さんに似ていて個人的には合っていたとまでは言えないものの原作と別物として考えた上でキャラクターはきちんと作り込まれていたかな、と……。碧生先輩への拷問シーンの「失礼します!」は良かったですね、だんだん強くなっていく結月ちゃんの存在を感じられます。あとの2人はまぁ、うん、僕の趣味ではない……。尻にキスとかありえねぇよ……。こんなに珍しく貶してますけど、強くなってからの結月ちゃんはまぁ、面白いですし原作とは異なりますけど、アリだとは思えて来まして、総合的に観れば良かったのかなぁ、ただ原作漫画と別物として観る必要がありますね。あと重要な点として、尋問のための行為である拷問と、快楽のためのマゾヒズムに対するSMプレイは一緒にしてはならないと個人的に思っているので、その個人的心情を抜きにすればアリなのかもしれません。
 これを観て確信したのは、深見さんが脚本を執筆した『PSYCHO-PASS』の実写版を撮るなら拷問シーンは出来るだけライトにして過度ないやらしさもとい艶美さを演出する必要はない、ということですかね……。
 映画としての内容は原作漫画から程遠いものになっていまして、あの結末は正直どうなのかと思います。しかし、総合的に観たときにはラストに向かう百合シーンはそれなりに楽しめたので、アダルトビデオやイメージビデオとしては及第点な出来だったのではないでしょうか。総合評価としては、そんな感じです。『PSYCHO-PASS』ファンにオススメは致しません。